2005年5月22日日曜日

楽譜を読む-プーランク/Hodie Christus natus est その2

曲の構成は大まかに、1番-2番-3番-コーダ、となっています。突然の変化を要求される音量記号も、良く見てみるとそれぞれの番で共通になっています。いずれも真ん中に pp->mf->pp->f という変化があるのです(若干の違いはあります)。そういう意味では、演奏者は、この1番、2番、3番の繰り返しを鮮明に表現すべきかどうか、をまず考える必要があるかもしれません。(もちろん曲調が一様なので、変にいじくるより同じ調子で突っ走る方がカッコいい、というのアリでしょう)
もう少し、ミクロ的な視点で楽譜を見てみます。
私が気になるのが、歌い手にはかなりきつい音程の跳躍です。プーランクの曲の一般的な傾向として、こういう書き方は良くみますが、この曲は顕著です。ベースにおける7度や9度の跳躍など、歌い手としては泣けてきます。
練習番号3からの内声は、場合によって声部が交錯します。同じ和音を鳴らすなら、もっと簡単に書けるはずなのに、声部を交錯させてまで音程を跳躍させているというのは、教科書的には褒められたものではないはず。この心はどんな風に汲んだらよいでしょう?
プーランクのいたずら心とか、歌手への嫌がらせっていう理由もアリかも。部分的にはそうとしか思えないような場所もありますし・・・
ただ、全体的にアップテンポの派手な曲であることを考えると、曲全体が持つ鋭角的な表現を、難しい跳躍を入れることによって敢えて演奏に要求しているようにも感じます。まあ普通はこういう善意な解釈をするんでしょうが。

5 件のコメント:

  1. 去年歌ったときの録音を聴きなおしました。
    実にヘタですが活きは良い^^;
    ��番、2番、3番で表現に意識的に変化はつけていません。
    MATTさんの言われる《鋭角的》ですが
    私は《デジタル》という感覚でした。
    音量や跳躍もですが、音符の連なりも階段状。
    なにより和音の切り替えを明確に。
    それがきちっとできていれば、
    ��いや、できてませんけど^^;)
    あえて歌い方に差をつけることはない、と思ってました。
    ��度9度の跳びもですが、何がいやって、
    最後の3小節で出てくる増4度2連続です+_^;
    ベース以外は当たり前の動きをしているだけになおさら・・・・

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  2. やはりこの曲、歌った人多そうですね。
    恐らくイメージ的には「デジタル」というのも同じ感じを表しているのでしょうね。単位時間当たりの変化量が大きいっていうか・・・
    だからそういう部分に、練習では非常に時間が割かれると思います。まあ、たいていはそれで良いのだけど、ミクロ的曲作りだけで終わっちゃいけない、と自戒を込めて書いてみました。
    最後のベースのFis、実に興味深いですね。
    うまく歌わないと、「あれ、ベース今外したよね」と言われかねない。プーランクのいたずらとさえ、思えてしまいます。^^;
    まるじゅんさんのブログに、このブログからリンクしました。

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  3. リンクありがとうございます。
    こちらからは勝手に「合唱系blog集」に載せてます、
    よろしくご了解のほどを。
    さて『Hodie Christus natus est』
    ミクロな部分がマクロ構造の中でどういう意味を持つのか
    それは大事で意識するほうがもちろん望ましいわけですが
    あのジェットコースターのような曲の中で、
    どれくらいその意識を歌にできるか、
    それはそれでまた問題、という感じです>私^^;

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  4. はじめまして☆
    私はこれからコンクールに向けて、この曲を歌っていくものです。
    このブログを見て、かなり焦りが出てきました。
    ��年という立場なので、部も休みがちで、音取りも憂鬱でした。
    しかし、本当に難しい曲なのですね。。。
    よければ、またアドバイスを載せてくださると、ありがたいです。
    あと、1ヶ月しかない中、本当に不安がつのるばかりですが、頑張っていきたいと思います!!

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  5. アキさん、はじめまして。
    書き込みありがとうございます。
    ��年ってことは高校生ですか?
    プーランクって好きな人がとても多いのだけど、思い入れが強い人も多くて(私みたいに)、コンクールなどではなかなか不利だなと思ったりもします。どう歌っても、誰かには不満だったりするわけです。
    まあ、そうは言っても、賞を取ることだけが大事じゃないし、この曲の面白さ、プーランクの面白さを、わかってくれる人が増えるのは、私にとっても嬉しいことです。それが、いい結果につながるといいですね。
    コンクール、頑張ってください!!

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