2007年10月28日日曜日

自虐の詩

もはや慣用句となっている「ちゃぶ台をひっくり返す」。
この言葉を、そのまま映画にしたらどうなるんだろうという企てで作られたような映画。
前半に集中する、阿部寛のちゃぶ台ひっくり返しは、芸術的とも言えます。これをしっかり捉えたカメラワークも素晴らしい。
ごはんが、味噌汁が、寿司が、うどんが、とんかつが、宙を舞って飛び散る、そこに潜む美学に日本人なら誰でも心打たれるはず(ほんとか)。ちゃぶ台返しにここまでこだわった映画はきっと今までになかったことでしょう。
ついでに、畳ごとひっくり返したときに、床下からねずみが飛び出していたのはCGによるシャレだと思われます。

さて、この映画の基本的な内容は、貧乏で社会の底辺を這って生きているような人々が、幸福って何だろう、と考えつつ、笑いあり涙あり、の日々を描写したものです。
正直言って、「嫌われ松子の一生」と中谷美紀のキャラがほとんどかぶっています。中谷美紀は完全にこの手の人物がはまり役になってしまった感あり。ストーリーも「嫌われ松子」に近い雰囲気を持っているのですが、中学時代のエピソードなど、微妙なリアリティがあり、後半は結構涙腺が緩みっぱなし。
泣いて笑えるなかなか面白い映画です。

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