2016年5月17日火曜日

Maker Movementの歴史的意味

ちょっと思いついたことを書いてみます。
Maker Movementは、単に個人のモノづくりがブームになった、以上の大きな意味があるのではないか、という話です。

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「個人のエンパワーメント」という視点でこれまでの技術の発展を眺めてくると、パソコンの出現というのは大きなイベントだったと感じます。
産業革命以降、工業の発展はまた分業の発展でもあり、分業化、専門家で社会は大きく効率化されました。大量生産された工業製品は人々の暮らしを潤し、そして人々はまたそのような大きな組織の歯車の一つとして、分業のシステムに組み込まれていました。

分業による効率化はパソコンの出現をターニングポイントとして、少し様相が変わっていきます。今まで人手を割いていた多くの仕事が自動化されるようになったのです。
それと同時に、その道一筋の専門家のスキルがコンピュータの機能としてインプリメントされ、誰もがアクセスできるようになりました。
少なくともデスクワークの世界においては、面倒なことがパソコンで圧倒的に簡単に済むようになったのです。

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分業から自動化へ、あるいは職人技の一般への解放へ、こういった流れは、単純な作業から人々を解放しましたが、それと同時により上位の判断力が働く人に求められるようになりました。
何かを生み出したい、巨大なシステムを作りたい、そういった野望を持つ人にはとても喜ぶべき社会が実現しました。
今では、パソコンを使えば、大量の会計処理もあっという間に終わり、動画やアニメーションが簡単に制作でき、音楽も高品位な楽器音を使って誰も演奏せずに制作でき、またそういった作業をプログラミングで全自動させることだって可能です。

パソコンは個人のエンパワーメントに大きな影響を与えたツールでした。
そして、そのような世界において、パソコンを使いこなすことは、会計や動画や音楽や文学といった多くの専門的な領域に誰もが簡単に踏み込むことができる、逆に言えば、そういった領域に踏み込まざるを得ない状況に追い込まれる、便利さと同時に使う側にリテラシーが要求されるということでもあったのです。

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Maker Movementがなし得るであろうことは、パソコンで起きたことのリアルモノづくり版です。
パソコンは所詮、デスクワークを自動化、効率化したに過ぎません。
しかし、Maker Movementでは、3Dプリンタ、レーザーカッタ、ミリングマシンなどの工作機械がパソコンに繋がれ、パソコン上で設計されたリアル世界に変換するデータは、工作機械で現実化されます。
そして、近い将来、今では多くの人がパソコンを持っているのと同じく、3Dプリンタやレーザーカッタを持つようになるのです。

その昔、インクジェットプリンタは20万円もしました。今では2〜3万円もあればプリンタは買えてしまいます。
同じように、3Dプリンタやレーザーカッタは数万円で誰もが手に入れることができるようになると思うのです。

それまで印刷屋さんがやっていた仕事を個人が出来るようになったのと同様、日常生活で必要な部品を、自分で作ることが出来る未来が訪れます。
その時、切削用データの作成方法や、物性の知識、モノを組み合わせる時のクリアランス、などこれまでモノづくりの専門の人しか知らなかったような知識が、普通の人々に必要になってしまうのです。

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パソコンと同じく、できる人はどんどん一人で勝手に覚え、一人でモノづくりが出来るようになるでしょう。
また、何かを作り出したいと思うクリエイティビティは今後の社会において、重要な資質の一つになってくるに違いありません。
そして、これがMaker Movementの本当に大きなインパクトだと私は思うのです。



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